水のように麗しく月のように淡い輝きを
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主に漫画の感想やゲーム日記でございます~。
ja
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冥王神話THE LOST CANVAS第43話
第43話 帰還 黄金のニケを手放すことだけは避けられたが、サーシャはその目に映った光景に、シリモチをついたまま立ち上がれないでいた。 「久しぶりだな、アテナ」 突風のような風が絶えず吹いて、サーシャの綺麗な長い髪をなびかせていたが、それは自然の風とも思えなかった。 スベテは、サーシャの前に現れたこの男。 声だけは聞き覚えのあるその男は、さらに続けて名乗ってみせる。 「我は冥王ハーデスである」 誰もが感じ
第43話 帰還
黄金のニケを手放すことだけは避けられたが、サーシャはその目に映った光景に、シリモチをついたまま立ち上がれないでいた。
「久しぶりだな、アテナ」
突風のような風が絶えず吹いて、サーシャの綺麗な長い髪をなびかせていたが、それは自然の風とも思えなかった。
スベテは、サーシャの前に現れたこの男。
声だけは聞き覚えのあるその男は、さらに続けて名乗ってみせる。
「我は冥王ハーデスである」
誰もが感じていた。
その男の存在を。
「火時計に降り立った、あれは…」
「ありえねぇ。こんなこと…」
十二宮を守る黄金聖闘士たちは、どの宮からでも視界に収めることの出来る十二宮の象徴である火時計から目が離せない。
そこに、あの男がいるからだ。
冥王ハーデス。
冥界の王が自ら、聖域に乗り込んできたのだ…!
「おのれ、ハーデス!単身やってくるとは…。舐めてくれる…!!」
そういきりたつのは牡羊座(アリエス)のシオン。
そして、
「テンマの故郷を滅したあの日…。あの、失意の退却…!」
と、天秤座(ライブラ)の童虎。
忘れもしない。
1つの街が滅ぼされたのを目にしながら、眼前に立った冥王に何の手出しも出来ずに撤退するしかなかったことを。
輝火が立ちはだかったからではない。
あの戦いは……負けたのだ。
シオンと童虎は遠くにいながらも、視界に映る怨敵を睨みながら、自然と小宇宙は高まっていく。
あの敗北。あの屈辱。
「忘れんぞ!!」
高まる闘気は白羊宮と天秤宮を満たして、それは十二宮全体を覆っていく。
彼ら2人の打倒ハーデスへの思いは、他の黄金聖闘士たちを凌駕していた…!
「…………」
ハーデスは火時計の上から十二宮を、そして近隣の村を見渡した。勾配(こうばい)の急な石段を挟んで宮が計12。その1つ1つから視線を感じる。
黄金聖闘士。
アテナを守る最強の聖闘士たちだ。
森や崖に囲まれた、自然の要塞、黄金十二宮は、文字通り、難攻不落である。
(ただの人間にとってはな…)
ハーデスは視線の中に嫌悪する感情を感じて、ピクリと眉を寄せた。
十二宮といえども、神であるハーデスにとっては何ということもない。そして、この嫌な気配も「少し気になった」という程度でしかないのだ。
シオンと童虎が全力で燃やした小宇宙でも、ハーデスにそう感じさせるくらいにしかならない。
それが、神と人間の決定的な差なのだ。
「久々のアテナとの再会に水をさすとはな。無粋な聖闘士どもよ、しばし、おとなしくしているがいい」
我はアテナとの語らいを楽しみにしておるのだ。
邪魔をするな。
小宇宙を発した、というほどでもないハーデスだったが、その影響はすでに十二宮全体に渡っていた。
アテナの救出に向かおうとする黄金聖闘士たち全員に、正体不明の圧力がかかり、彼らを動けなくさせていた…!
「何…!?」
双魚宮の主、アルバフィカが亡き今、アテナ神殿にもっとも近い位置にいたシジフォスとアルデバランは、ハーデスの存在を感知してからすぐに引き返したが、アテナ像を目前として急に不自然なまでにのしかかってくる重圧を感じた。
「ぬうっ!?」
動けん…!
立ち上がることさえも…!
「シジフォス!アルデバラン!」
アテナ像の前でシリモチをついたままのサーシャが、2人の接近と異変に気付いて思わず声をあげるが、その声に反応することも敵(かな)わないほど、2人は謎の重力と戦っていた。
少しでも気を抜けば、そのまま押し潰されてしまいそうだ…!
「くっ!ここまで来て動けぬとは……」
「これが、ハーデスの力か…」
ブルブルと身体を震わせながら、何とか立ち上がろうとする2人だったが、そうすることだけで精一杯だった。
最大の敵が近づいてきているというのに、アテナの盾となることも出来ないのか!!
その2人の心の絶叫を嘲笑うかのように、言葉が舞い降りてくる。
「これで、この十二宮に動ける者はいなくなった。…二百数十年ぶりだな。アテナ」
漆黒の服。漆黒の髪。
知っている頃の姿とは違っても、それは兄だった。サーシャにとっては。
躍るように、滑らかな空中散歩を見せたハーデスは今、アテナに影を見せている。座り込んだままのサーシャの上空に浮かんでいるのだ。
「兄さん…」
絞り出すようにサーシャは言って、少し心が落ち着いてきた。
「もはや余は、お前の兄などではない」
「嘘です」
淡々と伝えてくるハーデスに、サーシャは何の迷いもなく断言して、隣に控えていたアラトの肩を撫でた。
ハーデスの『気』に圧倒されるだけだったアラトは、そのサーシャの手の温もりで我を取り戻した。そして、後ろへとスッと下がる。
サーシャの目がそう言っていたからだ。
これは、アテナとハーデス。神の領域なのだ。
「忘れたのか?アテナ。余とお前の間には、常に闘争があるのみ。人としての記憶にこだわるなど愚かなことだ。わざわざ悲しみや苦しみを背負って生きることに何の意味がある?」
立ち上がったサーシャはハーデスを見上げた。
ハーデスの黒い法衣とサーシャの白いドレスが同じように風に瞬いている。
ハーデスは続けた。
「いくら、お前が人であろうとしても、あの幼い日々はもう帰らない」
イタリアの孤児院での日々。
貧しくても、アローンがいてサーシャがいてテンマがいて。
充実していた日々だった。
サーシャも思い出したのだろう。目には悲しい別離(わかれ)の記憶が浮かんでいた。兄、アローンの声でそうハッキリと言われるのが辛かった。
「その帰らぬ日々を奪ったのは……俺か?」
2人だけの会話の中に闖入者が現れた。
アラトではない。
射手座(サジタリアス)の黄金聖闘士、シジフォス。
シジフォスはハーデスの圧倒的な力の前にねじ伏せられていたが、その実力はやはりタダモノではない。豪腕を誇るアルデバランでさえ動けない重圧の中で、手をついてヒザをついて、そして立ち上がったのだ!
「シ、シジフォス…」
アルデバランは、ただ見ているだけしか出来なかった。
しかし今は、この男に賭けるしかない…!
「ハーデス!!」
シジフォスは弓を構え、矢を取り出した。
黄金の弓矢をつがえ、狙いを定める!
射手座(サジタリアス)の黄金の弓は、どんな邪悪も切り裂いて、この世界に太陽を照らすのだ…!
「神たる余に矢を向けるとは……。愚かな男よ」
チラリと見ただけのハーデスは、嘲笑うかのような視線を飛ばし、ただそれだけだった。
それだけでシジフォスの身体には凄まじいまでのプレッシャーがかかった。いつ攻撃したのかも分からない、ハーデスの圧倒的な力…!
「……ぐはッ!!」
全身の血管が暴れだし、シジフォスは今まで感じたことがないような痛みを覚える。
だが。
構えは解かない。
俺は、アテナの聖闘士だ!
ぎんっ、とハーデスを睨みつけ、ハーデスもその視線を軽く受け止めて…。
何かに気付いたようにハーデスは初めてシジフォスを振り返った。遠い昔を思い出すような瞳の色…。
「…お前、どこかで見たことがある。確か、5年前にアテナを村から連れ出した男だ」
ハーデスの中の『アローン』の記憶が、それを揺り動かす。
幼きアテナを擁護するために孤児院からサーシャを引き取った聖域。その使者となったのがシジフォスだった。
「アテナ様を聖域に迎え、お守りするのは当然。しかし…」
そのことに悔いはない。聖闘士として間違いもない。
だが。
「アテナよ。私は思うのです。なぜ今生(こんじょう)、貴女はアローンと天馬座(ペガサス)のもとに生まれたのかと…」
ナゼ?
サーシャは、自身の『人』としての一生をかけて、冥王の器である兄を守ろうとしていた。
それは愛情をもって、この聖戦を避けようとしていたからではないのか?
アローンを守ることで、冥王が降臨することを防ぎたかったのではないのか?
その疑問に答えられる者は誰もいない。
ただ1つ分かることもある。
アテナは、サーシャは愛をもってハーデスを止めようとしていた。昔もそうだったのかもしれないし、今もそうなのだ。
「それで?余がハーデスとなった今、その愛情とやらも無意味だったな」
冷淡に言い放つハーデスの声音には、どこか変化を感じさせた。少なくとも、居心地のいい状況ではなくなってきていたのかもしれない。
シジフォスは、弦(つる)を引き絞りながら、決意をこめて言い返す。
俺に間違いはあってもアテナ様に間違いなどない!!
「いいや、ハーデス。アテナ様の愛は我らにとって常に……希望だ!!」
どうっ!
黄金の一矢が放たれた!
刹那、黄金の矢はハーデスに向かって飛んでいき…。
「バカめ」
ハーデスのその言葉とともに、矢はクルクルと空中で回転した後に跳ね返った!
とんっ
と、軽い音をたてて、矢はシジフォスの胸へと突き刺さった!
「シジフォス!!」
アルデバランの叫びがこだまする。シジフォスの身体は耐えきれずにその場でヒザをついた!
天に唾すればそれはその身に降りかかるように、神に矢を向ければその矢も跳ね返ってくるのだ!
「…ハーデス……」
サーシャは力なく呟いた。自分の前でシジフォスが倒れようとしていく様を見て、感情を爆発させる!!
「ハーデス!!」
どんっ
光芒がサーシャの足もとから溢れ出す。それはサーシャを包み込んで、手に持つ黄金のニケへと集まっていく!
「…ああ。やっと戦女神らしくなったな」
ニヤリと口を笑みのカタチに歪めて、ハーデスは何事か呟くと、自身の背丈ほどもあろうかという巨大な剣を出現させた。何かの古代文字にような文体が刻まれたその剣は、文字通りにハーデスのみが扱えるハーデスの剣…!
神々の戦いが始まる…!!
が。
幾重もの光が煌めいて、その戦いは始まる前に中断を余儀なくされた。
サーシャとハーデスの真ん中の空間が光を生んで、それは星の瞬きのように美しく、辺りを染めあげる。
「この光、テレポーテーション…!?」
懐かしさがこみあげた。
サーシャにも。ハーデスにも。
何となくだ。
意味はなかった。
だが、心の奥に訴えかける『何か』が、その光にはあったのだ。
稲妻のような輝きの中いくつもの珠が連なったものが、空気を引き裂くように出現してくる。淡い光と昏(くら)い光を持つそれは、数珠だ。
「………」
その数珠を手に持って、光の中からテンマが飛び出してきた!新しい聖衣を纏って、テンマが今ここに帰還を果たしたのだ!
「待ちくたびれたよ。テンマ」
光が集束するのを待って、ハーデスは言った。
冥界での再会以来に見るかつての親友は、心なしか頼もしくなったようにさえ見える。
敵だというのに。
ハーデスの心は踊った。
キミはいつもそうだからな。ボクの期待を決して裏切らない。
ハーデスなのか。アローンなのか。
2つの意識が入り混じったかのようなその思いは、ハーデスの中に確かに存在していた。
「悪かったな、アローン。約束通り……」
テンマはザッと立ち上がると、パーティーに遅れた主賓のような淀みのない笑みを浮かべて言った。
後ろにはサーシャがいる。前にいるのはアローンだ。
どっちも守らなけりゃいけない2人だ。
敵も味方もどっちも守る。矛盾してるのかもしれない。だけど…。
「お前をぶん殴りに来たぜ!アローン!!」
ぶん殴ってお前の目を覚まさせてやる…!
テンマの心はどこか晴々としていた。
◆◇感想◆◇
第43話感想です~。
久々の巻頭カラー(26話以来?)!
今回で、自分の中の『サーシャの髪の色は何?論争』は紫ということで決着しました!(笑)
ついでにアラトの髪も紫。こっちはあんまり似合ってない気が…。
そして、いつものごとく、カラーだと絵に妙な違和感が。これはもう何か直りそうにないよーな感じがする。
★ねじ伏せる!
単身、十二宮に登場し、恐らくは10人の黄金聖闘士(アルバフィカ、アスミタを除くので)の視線を一身に集めるハーデス。
ハーデスは、シオンや童虎が放つ攻撃的小宇宙にも微動だにせず、逆に動きを封じる!
おぉ…。
そして、ミロとデスマスク(ともに仮名)に初セリフ!
黄金集結のときに初登場は果たしていたが、今回ついでのよーなセリフがあてがわれた(爆)
何か、彼らの今後の扱いが心配されるよーなビミョーな待遇である(笑)
★対峙
突然のことに立ち上がることも出来なかったサーシャだが、ハーデスとの会話により徐々に落ち着きを取り戻していく。
側についていたアラトにサーシャが、「後ろに下がっているように」と視線で言うシーンは、今回の隠れた名シーンである。
★射手座の矢
シジフォスは黄金の弓矢を発動!
しかし、やっぱりというかアッサリ跳ね返される。
絵的には、シジフォスの心臓を貫いてそうだが、まぁ、まだ生きてることでしょう。あんだけ大々的に登場しておいて、これで死んだら見かけ倒しもいいとこである(爆)
懐に、サーシャから貰った『大切なお守り』とかが入っていて欲しい。ベタですが(笑)
シジフォスの推測は、何というか「そうあって欲しい」的な願望のように感じられる。都合よすぎる考え方というか。
まぁ、アテナを崇拝してれば、こんな考えにも結びつくかもしれんが。
★テンマの帰還
ストーリー的にはすでにテンマは復活していたわけだが、イチオウ今回でサーシャの前に『帰還』というわけで。
サーシャのオドロキの顔が素晴らしく変だと思ったのは自分だけではあるまい。ゼヒ描き直してほしい…。手前のテンマはなかなかのカッコよさだけに。
ところでテンマ、アテナ神殿までテレポーテーションしてきたわけだが、それっていいのか?
確か十二宮には聖なる加護だかなんだかでテレポーテーションの類は意味を為さないんではなかったか。
ハーデスの方は、先週まではテレポーテーションで来た、とばかり思っていたが、ひょっとして空をプカプカと飛んできたのでは?
今回でもイチオウ浮遊してますし。
んで、空から侵入された場合、十二宮って何の役にもたたないのである(爆)
テレポーテーションも同じ理由で、これが有効なら十二宮なんて無意味に長いだけのシロモノに成り下がってしまい、アテナ守護の観点からいくと、むしろ邪魔ですらある。
そういうわけで、十二宮へのテレポーテーションは有効か否かという問題は、実は結構影響が大きいので、次回辺りに辻褄合わせ的な解答編を所望だ(笑)]]>
未分類
2007-07-05T21:34:31+09:00
水麗月紫
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冥王神話THE LOST CANVAS第42話
第42話 降臨 「なんと…。お前ほどの男が、それほどの深手を負うとは…」 聖域十二宮。 教皇の間。 紅い絨毯の敷かれたその先に座すのは、黄金のマスクからは長い髪をたなびかせ、ロザリオとブレスレットを首からかけた男。 聖闘士たちの長。戦いにおける総指揮官とも言える職を任とする、教皇である。 普段は静寂に包まれる、この『教皇の間』だが、来訪者の姿を見て、思わず教皇は唸り声をあげてしまう。 見上げんばかりの巨躯
第42話 降臨
「なんと…。お前ほどの男が、それほどの深手を負うとは…」
聖域十二宮。
教皇の間。
紅い絨毯の敷かれたその先に座すのは、黄金のマスクからは長い髪をたなびかせ、ロザリオとブレスレットを首からかけた男。
聖闘士たちの長。戦いにおける総指揮官とも言える職を任とする、教皇である。
普段は静寂に包まれる、この『教皇の間』だが、来訪者の姿を見て、思わず教皇は唸り声をあげてしまう。
見上げんばかりの巨躯に金色の長髪をまとわりつかせているのは黄金聖闘士、牡牛座(タウラス)のアルデバラン。
任務終了につき、教皇に報告がてら注進に参上したのである。
スッと、その巨体に似合わぬスムーズさでヒザをつくと、アルデバランは口を開く。
「教皇。やはりアテナ様の結界は揺らぎを見せています。ジャミールの使者、アラトの言うように一部の冥闘士が復活しておりましたが、すでに討伐し、遺体は結界内に運び込みました」
「そうか…」
教皇はアルデバランの報告を聞きながら、それでもこの男がここまで手傷を負わせられたということを信じられずにいた。
勇猛果敢なる屈強の戦士、アルデバラン。
この男に歯向かう者がいたとしても、その巨体に加え、隅々まで鍛え上げられた肉体を見ただけで、多くの者は戦意を喪失してしまうだろう。
優しげな双眸も、戦いの場においては羅刹ともなる。
それが、この姿はどうだ?
皮膚は爛(ただ)れ、身体のあちこちにヤケド傷を作っている。左目は腫れているのか、塞(ふさ)がって今は見えていないようだ。
「アルデバラン。ご苦労であった」
この男のこんな姿を目にするとはな…。
この目で見ても、やはり信じられない思いを抱く教皇。
信じたくないと言った方が正しいのかもしれなかった。アルデバランの手に負えない敵などいて欲しくないと。
「だが…」
装飾の施された、代々教皇の座す椅子の後ろには、天井から年代もののカーテンが吊り下げられている。
そのカーテンの合間をめくって、1人の男が姿を現した。
「だが、お前をそこまでの手負いにした冥闘士は、他にいるのだろう?」
さして明るいわけでもない、ここ『教皇の間』に黄金の翼が輝く。
何事にも動じそうにない、その淡々とした口調は、スベテを見透かされているような感じさえ相手に与える。
仲間でさえあれば、これ以上なく頼もしさを覚える声。
「来ていたのか…」
その男、シジフォス。
射手座(サジタリアス)の黄金聖闘士。
金髪に黒のバンダナを巻いたシジフォスは、真っすぐにアルデバランを見据えて説明を促した。
途中で曲げられることのないその視線は、実直そうな風貌とも重なって、大局的な感覚を思わせる。
アルデバランの傷の心配よりも、アルデバランが苦戦をさせられる相手のことを知りたがる。それほどの敵ならば、シジフォスにとっても強敵であるに違いないからだ。
つまり、シジフォスとはそういう男である。
「天暴星、ベヌウの輝火という男だ。不安定ながら、その実力は三巨頭に匹敵するとみていいだろう」
「三巨頭に?」
冥王軍の誇る精鋭、冥闘士。そして、その中でも特に能力の高い3人。それが三巨頭。
その実力は黄金聖闘士にも匹敵すると言われ、文字通り、冥王軍の中核とも言える存在である。
相打ちに終わったとはいえ、魚座(ピスケス)のアルバフィカと互角以上に渡り合った天貴星、グリフォンのミーノスをみれば、その力がどれほどのものか分かるというものだろう。
その三巨頭に匹敵するとは…。
シジフォスが思わず聞き返してしまったのも当然といえる。
「それより、シジフォス。アテナ様のご様子はどうなのだ?」
しかし、アルデバランはその問いには答えず、逆に質問で返した。答えようがなかったからでもあるし、輝火についてはその対策を講じなければならないものの、今、ここで話し合ったとて、何か結論の出る問題でもなかったからだ。
それにアルデバランにとっては、やはりアテナのことは気にならないわけはなかった。
極論すれば、アテナが力尽きてしまったら、そこで地上は終わりなのだ。いくら目の前の友や子どもを助けたとしても、アテナ抜きの聖戦での勝利はありえない。
聖闘士がアテナを守るために戦うのは至極、当然であった。
「…そうだな。気丈に振る舞ってはおられるが良くはないだろう」
シジフォスは、少し躊躇しながら言った。
シジフォスとて、アテナへの忠誠はアルデバランに負けるところはない。そのアテナの不利を口に出すのは、やはり好ましいことではなかったのだ。
アテナは冥王ハーデスの波動を受けて、敗れた冥闘士が復活するのを阻止すべく、十二宮を中心に広く結界を張っていた。
今回、アルデバランが討伐した天霊星ネクロマンサーのビャクらもアテナの結界内にいたためハーデスの波動が遮られ、その復活が遅れていたのだ。
「昼夜を問わず小宇宙を高め、結界を維持するのは容易なことではない。もはや、アテナ様の精神も肉体も、疲労の限界に達しつつある」
シジフォスは言う。
結局はビャクたちも復活してしまったことを思えば、アテナの結界といえども万能のものではない。それでも今、ハーデスの波動に対抗するには、それぐらいの策しかなかった。
自分たちが守るべきアテナが戦い、聖闘士はそれを見ていることしか出来ない。
それがシジフォスにとって、どれほど耐え難い心中であったのか。
何とかしたくても、何もすることが出来ない。いくら力があっても、その振るいようがないというのは、彼らの中に激しい葛藤を生み出していた。
早く…。
早く…。
「早く、この重圧から解放してさしあげなくては…」
それこそがシジフォスの何よりの望みであった。
報告を終え、それぞれの守護宮に戻ろうと教皇の間を出ると、空は完全に夜のものとなっていた。十二宮の象徴たる火時計が周囲を威圧せんとばかりに、そそり立ち、空には満天の星空が広がっている。
「アルバフィカが逝って、アスミタも戻らず…か」
階段を降りながらシジフォスは感傷にふけるように言った。
そんな気分にひたっている暇などなかったが、1人、2人、と仲間が減っていくのを思うと、やはりそんな気持ちにもなる。
その思いは、この戦いの苦しさを物語ってもいた。
「そして、アルデバラン。キミの負傷もある」
「何を言う!俺はこの通り、ピンピンしとるぞ!」
話題が自分のことになると、アルデバランは反射的に反発する。
今だって、敵が来ればいつでも戦える。
その自負がアルデバランにはあるのだ。
しかし、シジフォスは眼は鋭い。教皇の前では普段と何ら変わりない動作を見せていたつもりのアルデバラン。しかし、その僅かな違いをシジフォスは見抜いていた。
少し、無理をしているようだ、と。
「………」
シジフォスは階段を降りるのを止めて振りかえると、アルデバランの身体を少し押した。
「……うぐ…ッ!!」
途端にアルデバランに激痛が疾(はし)った!
輝火戦での傷は癒えたわけでも何でもない。ただ、痛みを押し殺していただけのことだ。冷や汗が溢れ出すのをアルデバランは感じていた。
「俺の目はごまかせんよ。もっと自分の身体を労(いた)わってやれ」
思わず腰を落とすアルデバランを見ながら、シジフォスは言う。
戦いの場において、自分が負傷していることを悟らせないのはプロだが、休めるときには休んでおくのも、またプロである。
それに…
「それに、聖戦とはいえ、聖闘士の死はアテナ様を悲しませる」
「…!」
アルデバランは痛みをこらえて立ち上がると、まだ覚醒していなかったサーシャをイタリアから連れてきたのは、このシジフォスだったことを思い出した。
シジフォスは黄金聖闘士の中でも、アテナのお目付け役にも等しい存在だったのだ。
「……幼い頃より、アテナ様を見守るお前は、特にそう思うのかもしれんな」
アルデバランのその言葉に、シジフォスは否定も肯定もしなかった。
アテナを悲しませたくないのは聖闘士共通の思い。
しかし、その気持ちが他の聖闘士と比べ強すぎるのではないかとシジフォスは思わないでもない。
言わないのは、それが言う必要のないことだからだ。
シジフォスにとって、アテナを想うとは、そういうことなのである。
「…確かに俺は、イタリアに生誕したアテナ様を見つけて、この聖域に連れてきた。だが、兄であったアローンが冥王と化した今となっては、果たしてそれが正しかったのかどうか…。ご自分の心を殺して戦われているアテナ様を見ると、心が痛む」
2人は足を止めて、何とはなしに夜空を見上げていた。
アテナとハーデス。
アテナを覚醒させなければ、ハーデスも復活したりはしなかったのではないのか。
サーシャをこの聖域に連れてきたときに、聖戦は始まっていたのかもしれないのだ。
しかし、アテナが降臨したとなれば、その存在を保護しなければならないのも、また事実。
どこまでいっても平行線。
葛藤であった。
ふぅ、と息を1つ吐いて、シジフォスは悟ったような顔になった。
「…何より、アテナ様の口から語られる冥王……アローンは、天馬座(ペガサス)のテンマ同様、ただの無邪気な少年でしかないのだからな」
「……ッ…!?」
そのときだった。
2人の間に衝撃が走った!
いや、2人だけではない。おそらく、聖域にいるスベテの聖闘士がそれを感じていただろう。
存在してはならないはずの、漆黒のような小宇宙が、突如として聖域の中心部に降り立ったことを。
すなわち、十二宮に。
「……感じたか?」
シジフォスは言った。
「…ああ。感じた。闇の底のような深い小宇宙…」
アルデバランは答える。
お互いに勘違いでないことを知って、愕然とした。口には出せなくても、その小宇宙の正体が何であるのか、もう悟ってしまったからだ。
「まさか……」
その続きを言うことは出来なかった。
口に出してしまえば、それを認めたことになる。認めないことが、今の彼らに出来る唯一の抵抗であった。
サーシャはアテナ神殿の前に立ち、もう何日も結界を張り続けている。休むことなく小宇宙を高め、結界を張るのは予想以上に重労働である。
しかし、それが出来るのは自分だけだと思えば、苦痛も軽減された。自分が頑張ることで誰かが救われるのなら。
だが。
その小宇宙はサーシャも感じていた。
不吉で不穏なる小宇宙。
それは何よりも破壊の象徴に思えた。地上を死と破滅へと導く死神のような…。
「まさか…」
サーシャのその予感も、シジフォスたちとまったく同じものだった。来訪したのが誰なのか、もう分かってしまっていた。
バリィィ―ン
空からガラスのような光の破片がバラバラと落ちてくる!
聖域を覆っていたアテナの結界。
それが破られかけているのだ!
不意に、辺りは光で満ち溢れた。何も見えない眩しさに包まれる。まるで昼間のような明るさ…。
「きゃあ!!」
破裂した光はサーシャにも襲いかかり、サーシャは思わずしゃがみこんでしまう。
光の破片は絶えず落ち続けて、その速度は急速に上がっていた。
「………結界が…」
それは、アテナの結界が破壊されたことをも意味していた。サーシャは空を見上げ、側についていたアラトもサーシャの隣に来ると、同じように空を見上げた。
光の結界の外にある漆黒の闇。
それは空ではない。
空だったのかもしれないが、サーシャが感じたのはそんな視覚的なものではなかった。
もっと直感的な……。
1人の男が舞い降りる。
漆黒のローブに漆黒の髪。
サーシャが見たのは、これだ。ただ、分かる。見なかったとしても、きっと分かっていただろう。
それが誰なのか。
「久しぶりだな、アテナ」
火時計に降り立った、その男は言った。
あまりにも身軽に、何の力も込めてないようでいて、その存在感は『力』そのものだ。
「…兄さん……」
サーシャは立ち上がれないまま、力なく呟いた。
「いいや、アテナよ」
男が首からかけている銀色のペンダントが揺れる。
男がただそこにいるだけで、辺りには火がついて、もうもうと煙がたちこめた。
これが神。
これが冥王。
「我は、冥王ハーデスである」
『アローン』だった、その男は、高らかにそう宣言した。
◆◇感想◆◇
第42話感想です~。
珍しくも発売日に即レビュー。本誌見てない方、ご注意クダサイ。ネタバレ満載です!
ってか、ここまで読んでしまったなら時すでに遅し、って感じですが(笑)
★シジフォス、登場!
うおお。射手座が!射手座があぁぁ~~~!!
何と生きたまま登場!!
いや、感動だ。感激といってもよい。
うおおお~~~…っ!
…と取り乱すのはさておき。
射手座の身としましては、やはりここは喜ぶべきであろう。何せ原作じゃロス兄さんはすでに死んでいたので…。
子ども時代、皆が自分の星座の聖闘士について語っている頃、実質的にエピソードはなきに等しいアイオロスを星座に持つ自分はダンマリに徹する以外になかったのである(涙)
いや、随分恨んだもんですよ。ナゼ死んでいるかと。
とか言うと、某星座の人に怒られたりしたが、いいじゃん。生きてんだから。みたいな反論もしたかったり(笑)
ところで、シジフォス。弓矢持ってません。人馬宮に忘れてきたのだろうか。あのある意味最強の弓を。
アルデバランとの関わり方を見るに、やや兄貴分的な性分がありそうです。
シジフォスの口から、アルバフィカやアスミタの名前が出ると、やはり12人集合したシーンとか見たかった気もするなぁ。
獅子座との関係とか、必殺技はどれ使うんだとか(アトミックサンダーボルトなのかインフィニティブレイクなのか)、コイツ空飛べるのか?(笑)とか、色々気になりますが、まぁ、今後のお楽しみにしときますゎ~。
★アテナとハーデス
ハーデス降臨!
以前のテンマとの約束通り、聖域に遊びに来たハーデス(笑)
やっぱりテンマも駆けつけるんですかねぇ。時間的に到底不可能っぽいのだが。
結界ブチ壊され、かなりの衝撃を覚えるサーシャだが、心配で残っていたハズのアラトはナゼか無表情。ビックリすらしてねぇ。
コイツが全然読めません!(笑)]]>
聖闘士星矢
2007-06-28T21:37:49+09:00
水麗月紫
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冥王神話THE LOST CANVAS第41話
第41話 慟哭 それはもはや火の玉などではなかった。 輝火の小宇宙が生み出す、超高熱の攻撃エネルギーは火とか炎などと呼ぶにはあまりにも限度を越えている。 言うなれば、溶岩の塊。 触れるもの、すべてを溶かすような灼熱地獄である。 しかも、それが3つ! 輝火の怒りのパワーは、極大のコロナブラストを同時に3つも生み出していたのだ! 輝火が見据える先にいるアルデバランは、ただその光景を見て、立ち尽くすのみ。 「2
第41話 慟哭
それはもはや火の玉などではなかった。
輝火の小宇宙が生み出す、超高熱の攻撃エネルギーは火とか炎などと呼ぶにはあまりにも限度を越えている。
言うなれば、溶岩の塊。
触れるもの、すべてを溶かすような灼熱地獄である。
しかも、それが3つ!
輝火の怒りのパワーは、極大のコロナブラストを同時に3つも生み出していたのだ!
輝火が見据える先にいるアルデバランは、ただその光景を見て、立ち尽くすのみ。
「2度と立ち上がれんように蒸発させてやる…ッ!くらえ、コロナブラスト!!」
ザッ
手をあげて、コロナブラストを制御下におくと、輝火は叫んだ。その叫びとともに、輝火が生み出した溶岩は迷うことなく最短距離を進んでいく!
空気ごと、蒸発させてしまいそうな圧倒的な超高熱は、黄金聖闘士といえども耐えられそうにない。
「アルデバラン様!!」
それは誰の悲鳴だったのか。
サロか。セリンサか。テネオか。
それとも、童虎か。
それは誰のものとも判別出来なかったし、また、誰が叫びをあげたとしても、おかしくない状況でもあった。
1つでも骨さえ溶かしそうなコロナブラストを同時に3つも受けては、待っているのは死か、消滅か、そのどちらかでしかないのだから。
「今度こそ…」
だからだろう。
輝火の口もとには笑みが零れていたのは。
しぶとさと頑丈さだけが売りの牡牛座(タウラス)でも、この攻撃を受けて生きていられるはずがない。
そう思ったのだ。
「今度こそ終わりだ!牡牛座(タウラス)!!」
3つの溶岩は、1つ1つが混じり合い、重なり合って、灼熱の竜巻(トルネード)へとその姿を変えていた。その渦の中にアルデバランを巻き込んでいく!
アルデバランはちっぽけな存在だった。
この炎を前にしては、ただ飲み込まれるだけでしかない。
大波にさらわれた人間が、次の瞬間には海の藻屑に成り果てているように…!
「ぬうぅうっ!!」
炎に身を焦がしながらアルデバランは、しかし、耐えるということをしなかった。
唸りをあげて、手を前に突き出して、現状を打破する為の前準備へと入っている。そうしている間にも炎が身体を包んでいった。あちこちに痛みと痺れが襲ってくる!
(コロナブラストを同時に3つも撃つとはな…。お前の力は底なしか?ベヌウ…!)
アルデバランがやりたかったことは、この炎を突き破ることではない。敵を倒すことでもない。
(だが…。だがな…!)
心を貫くことだ!
迷える戦士の心を…!!
アルデバランはグッと腰をおとして、タメを作る。
俺には守らなければならない者がいるんだ!!
お前にはいるのか!?そんな存在が!!
「お前は俺には勝てん!!輝火おぉ―っ!!」
アルデバランの両手は大地を、そう。大地をそのまま鷲掴みにして、それを引っくり返そうとでもいうように、そのまま持ち上げた!
大地を。
いや。地球を?
これぞ、アルデバランの奥の手。
その名も…
タイタンズノヴァ。
「バ、バカな…!」
輝火は呻くようにして、ようやく声を絞り出した。
脅威とか恐怖とか、そんなものはなかった。ただ、信じられないものを見たという現実が、輝火を押し潰していく。
あまりにも単純なだけに、避けようのない心理的プレッシャーを感じながら…。
「ぐわあああああぁぁっ!!」
輝火は悲鳴をあげていた。
タイタンズノヴァによって、突如、崩れていく大地に足をとられ、出来た大穴が輝火を地下といってもいいほどの奈落へ突き落とさせたからだ!
そう。
馬鹿げた話だ。
1人の男が大地を持ち上げて引っくり返すなど。
出来るとか出来ないとか、そんな話ではない。
ありえるはずがない!
しかし、今、大地は確かに底の見えない奈落を作りあげていて、その穴へと落ちていった輝火が悲鳴をあげているのが聞こえている。
やがて、その悲鳴も聞こえなくなる。
アルデバランは穴の側までやってきて、中を覗いていた。
「やったか…?」
そう言うでもしない限り、存在感を主張できないかのように童虎が呟いて、その背後にいる3人の聖闘士候補生たちからも無言の同意を感じていた。
だが…。
どううぅっ!
岩を爆(は)ぜながら、巻き起こる衝撃音は、その穴の中から聞こえてきた。
そして、間を置かずに黒い竜巻が舞い上がる!
輝火だった。
タイタンズノヴァの生んだ衝撃波に打たれ、奈落の底へと落下して、次々に落ちてくる岩の塊に下敷きにされた。
それでも、なお、輝火は生きていたのだ!
トレードマークの漆黒の翼はボロボロになり、自慢の冥衣もあちこちが欠けて、今もなお、落ちそびれた箇所が屑(くず)になって剥がれ落ちている。
息もあらく、ボタボタと流れる血でその身を染めていた。
恐るべき、生への執着。
「バカな…。あの技をくらって、まだ…」
その童虎の呟きは本音以外の何物でもなかった。
それほどにタイタンズノヴァは強烈だったのだ。
乱れた息を整えようともせず、輝火はただ睨み付けてくるだけのアルデバランを逆に睨み返す。
「貴様…っ!」
一歩、踏み出した。
眼前にアルデバランの姿が在(あ)る。
輝火の長身をもってしても、アルデバランを睨みつけるには見上げる必要がある。
顔を上げるだけでも、今の輝火にはキツいはずだ。しかし、輝火はガンとして譲らずに睨みつけた後に、叫んだ!
「貴様、なぜトドメを刺さん!!」
そうなのだ。輝火が穴に落下した後、もしグレートホーンでも放たれていたなら、輝火も今頃は息絶えていただろう。こうやって地上に戻ることも出来なかったはずだ。
「お前が邪悪ではないからだ」
「………!」
戦いの中で、輝火は分かっていた。
いくら輝火が殺意を剥き出しにしても、それはすべて受け流された。
このアルデバランという男は、その圧倒的なパワーで攻撃をしかけてきても、殺してやる、という気概までは感じられなかった。
心のどこかにある優しさ。
他人を信じようとする…甘さ。
しかし、それは輝火のプライドを傷つける。
そんな甘い男に、俺は負けるのか、と。
情けをかけられるのか、と。
屈辱だった。
「お前が冥王ハーデスに対して何の影を見出しているのか俺には分からん。だが、今のお前は守る者を探しあぐねて荒れているだけにすぎん」
続けてくるアルデバランの言葉が、輝火の思いを確実なものとしていく。
魂にナイフが突き立てられたかのように、亀裂が入った気がした。
「お前は冥王軍には似合わん男よ」
「………ッ…!」
拳が震えていた。身体が震えていた。
怒りだ。
かつて、これほどに自尊心を傷つけられたことはなかった。これほどに打ちのめされたこともなかった。
ぎっ、と歯を噛みしめて、輝火はアルデバランに背を向ける。傷だらけになった漆黒の翼は、今の輝火を示しているようでもあった。
「…俺にとって冥闘士も聖闘士もすべてがくだらん!殺したい敵も守るべき者も俺が決める。そう言った」
そう言ったはずだ。
それに変わりはない。
だから…
殺す…!
輝火は顔だけ振り向かせて、アルデバランを睨みつける。その瞳は灼熱に燃えながら、決して折れぬ意思の強さを感じさせている。
「貴様らは、この俺が必ず殺す!必ずな!!」
そう言い放つ輝火の身体は黒い炎に包まれて。
次の瞬間には、その姿を大空へと舞わせて、そしてわずかに滞空したと思ったら、まるでつむじ風のようにどこか遠くへと飛んでいった。
「ああ。すっかり日が沈んだな…」
去っていく輝火を見届けて、アルデバランは空を見上げていた。夕方頃に始まった戦いだったが、今は夕闇に包まれている。
輝火の黒炎のせいで気付きもしなかったが。
グラリ、と身体を傾かせて、そのままアルデバランは地に身体を横たわらせた。緊張の糸が切れたのだろう。本来ならいつ倒れてもおかしくないダメージを受けていたのだ。
「アルデバラン!!」
慌てて童虎たちは駆けよった。
「アルデバラン様、大丈夫ですか!?」
テネオが、心配そうに倒れたアルデバランの顔を覗き込むようにして言った。
アルデバランの顔は笑顔に満ちていた。
皆を守れたことの安堵感か。
戦い終えた満足感か。
「ワハハ!強い男だった!久々に全力だったな!」
豪快に笑うアルデバランを見て、ようやくサロもセリンサも安心したようだった。
「笑っていられる身体ではなかろう!戻るぞ。聖域へ」
「おお、そうだな」
呆れたような顔を見せながら言う童虎に、アルデバランは重い自分の身体を恨みがましく思いながら上半身を起こした。
起き上がるのを支えようとするサロは、童虎を非難めいた目で見て、そしてアルデバランの右腕にしがみついた。
守ってでもいるかのように。
さあ、帰ろう。
俺たちの家へ。
聖域へ。
(輝火よ。お前はどこに帰る?)
どこへ…。
撤退した輝火は誰もいない場所でうずくまっていた。
さほど離れたわけではないのだろう。さっきと似たような風景が広がっている。
「ぐっ……」
流れる血は何も変わらずに流れ続けていた。
傷の手当てもなく。
血を拭くでもなく。
あの戦いの瞬間から、何も変わってなどいなかった。
溢れんばかりの怒りが輝火を埋め尽くして、悔しさがその怒りの中に内包する。
「うおおぉおおぉお!!!」
痛みなどどうでもよかった。
ただ、感情を吐き出すためにだけ輝火は咆哮を続けた。
その先にある道は見えなくても、今の輝火にはそうすることしか出来なかったからだ。
◆◇感想◆◇
第41話感想です~。
アルデバランVS輝火、決着編。
派手な演出が連発するこの戦いは、アル×ミノ戦とは違う意味での良さがあります~。
噛みあうようでいて、編みあわないようでいて……でも、やっぱり、噛みあわないんだろうな、この2人は。
★限界を越えたコロナブラストVSタイタンズノヴァ
輝火のコロナブラスト。最初の頃の威力とはケタ違いである。
3つの溶岩が降り注いでくるその様は、もう『聖闘士星矢』とか思えない(笑)
しかし、それすらも返したのはアルデバランの新技、タイタンズノヴァ。
一体どんなパワーしてやがる!
みたいな感じ(笑)
視覚的にはFF7の召喚獣『タイタン』みたいなイメージですかねぇ。やったコトない人には全然、分からん例えだけど(笑)
見た目だけだと、あんまり痛そうではないんですが(スゴそうではあるが)、自分で文章化していくと、何かスゲー痛そうな気がしてくる。
輝火、大丈夫かー?(笑)
★輝火、撤退
かろうじて生きていた輝火。
トドメを刺さないことに怒る輝火だが、アルデバランは「お前が邪悪ではないからだ」と、またもや説教を始める。
もはや輝火のプライドを傷つけているだけ、と思うが、まぁ、これが彼の特性なんでしょう(笑)
どこまでいっても、アルデバランなのであった。
★イチオウ、補足
…っていうか何ていうか。
絶対死ぬんだろうと思ってたアルデバランがナゼか死なず。
良い意味で「えー?」ってな展開。
いや、まぁ、逆転につぐ逆転、っていうのは『星矢』のお約束の1つなワケでして、ありうるって言えばありうるわけですが、ここまでストーリーから考えると、初めてパターンから脱却したなぁ、という感じ。
黄金聖闘士が出ては死に、出ては死に、と10人分(シオンと童虎は除くので)それをやるんじゃないかと思っていたくらいなので…。
そういう意味では嬉しいですゎ~。
まぁ、後は聖域に帰って、アルデバランが1人になったトコロで金牛宮の中で座ったまま死んでいた……みたいな感じにならなけりゃいいな、と思う次第でゴザイマス。 ]]>
聖闘士星矢
2007-06-21T21:41:20+09:00
水麗月紫
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冥王神話THE LOST CANVAS第40話
第40話 孤独 ぎっ! その音は歯ぎしりだったのか。 あるいは、あまりの激しい感情に、睨みつける視線がそれを発したのかもしれなかった。 一瞬、呆然としながらも、その見たくもない光景は童虎の怒りの炎を燃えあがらせるのには充分だった。 「………っ…!」 空気が。 変わる。 研ぎ澄まされていく。触れたものすべてを傷つける鋭敏なる刃物のように…! 友であり同志でもあるアルデバランが炎の輪に捉えられていた。 まるで張り付
第40話 孤独
ぎっ!
その音は歯ぎしりだったのか。
あるいは、あまりの激しい感情に、睨みつける視線がそれを発したのかもしれなかった。
一瞬、呆然としながらも、その見たくもない光景は童虎の怒りの炎を燃えあがらせるのには充分だった。
「………っ…!」
空気が。
変わる。
研ぎ澄まされていく。触れたものすべてを傷つける鋭敏なる刃物のように…!
友であり同志でもあるアルデバランが炎の輪に捉えられていた。
まるで張り付けになったかのように動かないアルデバランを前にするのは、やはり童虎の『読み』通りのあの男。
「輝…っ…火!!」
童虎はけたたましく叫びをあげながら、瞬時に崖を駆け下りる。
いや、飛び降りた!
その拳を輝火の脳天に狙いを定めている!
ドゴォッ!
童虎の拳は輝火のいた場所を叩き壊していた!輝火は飛んで避けながら、フワッと舞い上がって、やや後ろに着地する。
「貴様!アルデバランを殺ったのか!?」
飛び散る瓦礫を気にする様子もなく、童虎はただ輝火の動きに顔をあわせるように睨みつけながら言った。
それは怒声といっても良い。
「童虎か。一足遅かったようだな。もう手遅れだ。その炎陣は敵を捕えて焼き殺す。炎陣から解放されるのは、その身が灰になったときだけだ…!」
実際には、輝火は童虎の存在には気付いていた。
当然だろう。あれだけの小宇宙を感じさせられて気付かない方がおかしい。攻撃の気配だけで、全力の黄金聖闘士の攻撃を避けられるものではない…!
「黙れ…」
童虎はすでに意識はないように見える同胞を背にして、勝ち誇った輝火の声音を耳にしながら苛立ちを覚える。
しかし、それにも構わず続ける輝火。
「…もっとも、そこの木偶(でく)の坊の巨体が灰になるのには時間がかかるがな」
「黙れと言っている…ッ!!」
童虎の怒りは頂点に達していた。握り拳をつくり、全身に小宇宙を滾(たぎ)らせている!
「これ以上、アルデバランを愚弄することは許さん!!」
しかし、それは輝火も望んでいたことのようだった。挑発するような仕草をとりながら、不適な笑みを浮かべている。
「ああ、来い!今度こそ決着をつけてやる!!」
今にも飛びかからんとする童虎と輝火。ジャッ、と右脚をわずかに前に出して……。
「待て!!」
不意にかけられた声に、童虎はピクリと動きを止めた。
輝火が凝視するその先、童虎が振り向くその先にいるのは言うまでもなく動きを封じられたアルデバランである。クラシファイアンクに捕えられながらも、意識はまだ失っていなかったようだ。
「生きておったか、アルデバラン。待っておれ。こやつは、わしがすぐに……」
しかし、その言葉を遮ったのはアルデバランの言葉だった。
「童虎。お前は下がれ。この戦いに手出しは無用だ!」
「な、何を言っておる!そのダメージで……」
童虎は信じがたい言葉を聞いたような気がした。
だが…。
心のどこかでは、そう言ってくるだろうことも分かっていたのかもしれなかった。
それが、このアルデバランという男だからだ。
「忘れたか、童虎!聖闘士の戦いは常に1対1。俺が戦闘意欲を失わん限り、お前はこの戦いに関与出来ん!!」
ぎしぃっ
炎で繋がれた手をアルデバランは握りしめていた。手を焦がしながら、その手に掴んだ炎をかき消す!
炎の束縛を解かんと無理矢理に腕を動かす。ぎっ、ぎっ、と腕が軋む音がして、その痛みに顔に苦悶の表情を浮かべた。
しかし、それで諦めるアルデバランではない。
いや、だからこそだ。
こんな炎に負ける俺ではない…!
巨星(アルデバラン)は……
こんな炎では焼き尽くせんのだ!!
うぉん!
アルデバランは腕を一閃させた!
「何っ!?」
クラシファイアンクを引き千切っていた。巻き起こる風を熱風へと変えて、周囲へと飛散させる。
(俺のクラシファイアンクを破るとは…!)
輝火は、その風を頬に感じながらさすがに驚きを禁じえずにいた。アルデバランは、そんな輝火を尻目に何事もなかったように前へと歩み出た。
「アルデバラン!」
後ろで童虎が非難の声をあげていたが、それもアルデバランにとっては気にすることでもなかった。
童虎が自分の身を心配してくれているのも分かっていたし、俺もまだまだ負けたわけではない。
そうだ。まだ…!
「まだ終わってはいない!そうだな?ベヌウ」
胸中で舌打ちしながら、輝火は苛立ちを隠そうともせず言う。
「くたばり損いが!次こそ完全に葬ってやる…!」
「アルデバラン様!!」
遠くから聞こえる、聞き慣れた声にアルデバランは思わず振り返っていた。童虎が来た方角と同じ、崖の上に3人の少年少女が立っていた。
聖闘士候補生、テネオ、セリンサ、サロである。
「お前たち…」
まだ表情に幼さを残すサロは、アルデバランの姿を視界に収めると、立ち止まることも出来ないように崖を駆け下りていく。
「サロ!行っちゃダメだ!」
「やだ!」
山の中を走ってきたらしく、身体のあちこちに傷を作っていたサロだったがセリンサの制止も聞かずにそのまま走っていってしまう。
テネオは素早く追いかけると、背後から捕まえる。
「立ち入っちゃダメなんだって!」
「いやだァ!だってアルデバラン様、あんなに怪我してるじゃんかぁ!!死んじゃヤダよぉ!!」
テネオの腕の中で暴れるサロは、涙目になりながら、ただ叫び続けた。
輝火はその駄々をこねる様を見知らぬ少年を見ながら、心が静止したような気がしていた。
忘れていた何かを、思い起こさせて……。
ボクは…
お兄ちゃんが怪我をするのは嫌だなぁ…
幼少の輝火は、ヒザを抱えて、うつむいて、それでも絞り出すように言う言葉を、『男』はその真後ろで背を向けて座りながら聞いていた。
振り向くこともなく。言葉を返すでもなく。
輝火の想いに応えることは出来なかった。
前へ進むしかないことを、知っていたから…。
(……ちっ…)
感傷を振り払うように輝火は、ふいっ、と顔を背(そむ)けていた。
「なぜ来た。テネオ!?」
「すみません!サロが勝手に…」
サロは泣き疲れたようにテネオに身体を預けている。テネオの弁明を聞きながらアルデバランは、ただ沈黙するしかなかった。
彼らを守ること。それはアルデバランの強い想いでもあったからだ。
「アルデバラン様!」
サロをセリンサに任せると、テネオは落ちていた牡牛座(タウラス)のマスクを拾った。
テネオにはまだ重さを感じてしまう。
人を守ることの重み。
それが、このマスクには確かにあった。
「次の戦いの場には俺もお供できるように頑張ります!」
だから。
「勝ってください」
駆け寄ってくるテネオからマスクを受け取りながら、悲痛な表情を浮かべるその愛弟子を安心させるようにアルデバランは笑みを浮かべた。
いつもの……自信に満ち溢れたその笑みを。
「ああ。俺は負けん」
向かい合う輝火とアルデバラン。
「別れの挨拶は済んだようだな」
輝火は言った。
アルデバランの背後にはテネオ、セリンサ、サロがいる。その3人を守るように立つ童虎も。
「あれが貴様の倒れぬ理由というわけか?」
「…そうだ。あの子らのためなら俺は何度でも立ち上がろう」
あの子たちを守ること。
それは世界を守ることと同じくらい、アルデバランには大事なことだった。
だから、この場は退かん!
「………存外、くだらん理由だったな」
輝火は右手を前に出して構える。
馬鹿にしたようなその言葉も、表情にはそれと感じさせるものはない。何かの感情を押し殺すように、苦しげに息を吐き出している。
しかし、アルデバランはその輝火には気付かない。ただ礼儀のように言葉を紡いだ。
「お前ら、不死の冥闘士には分かるまい。命に限はあっても、熱い心は途絶えたりせん。受け継ぐ者がいる限りな!」
苛立ちは輝火の神経を切り刻もうとしていた。溢れ出す炎が輝火の身を包んで、制御出来ない感情を表現しているようだった。
「………っ…!」
アルデバランの言葉が、輝火の心の奥底に響いていって、それが輝火の感情をさらに昂(たか)ぶらせる!
うるさい…!
「説教は、もう聞き飽きた……!」
呟くような、だが、確実に怒りが込められたその声はアルデバランに向けられていた。
しかし同時に、その思いは自分にも向いていたのかもしれなかった…。
輝火の苛立ちは怒りへと膨れ上がって、それは紅蓮の炎へと姿を変える。
「2度と立ち上がれんように蒸発させてやる!!」
輝火の一撃はおびただしいまでの爆風と爆炎を生んで…!!
「アルデバラン様!!」
それはテネオたちの叫び。
赤と黒に染められた空気の中、金色に輝くアルデバランの後ろ姿から目を離せずにいながら、だが、それ以上に出来ることもなかった。
(テネオ、サロ、セリンサ、よく見ておくがいい…!)
アルデバランは、ただ立っていた。
その炎をすべて身に受けるつもりでいるかのように。
自分の戦う姿を見せることが、最後の使命と思っているかのようだった。
倒れることなどしない黄金の牡牛は、その運命を享受するうかのようにこの場に立って、裂帛(れっぱく)の気合をあげる。
すべては。
次代のために。
◆◇感想◆◇
第40話感想です~。
童虎到着。しかし何も出来ず…。
うーむ。
アルデバランの最後の咆哮は輝火を貫くことが出来るのか!
★クラシファイアンクの全容
動き封じ技とか思わせといて、技単体で攻撃能力もあるらしい。じわじわ焼くんでしょうかねぇ。
まったく輝火め、紛らわしいことを言わないで欲しいもんである(笑)
まぁ、それに捕えられたアルデバランを背に小宇宙を燃やす童虎。やはり背後のオーラは虎。天秤のオーラとかないのだろうか(笑)
童虎のイメージ図が虎なのは、単に名前に由来したもんだとは思いますが、個人的にゃ不満なんですけどねぇ。何か無理がある。
★過去
アルデバラン弟子3人衆登場!
時間的に無理っぽい気もするのだが、ともかく登場(笑)
泣きわめくサロに昔の自分を重ね合わせる輝火に、感情の不備さがさらに加わる。後々の伏線になるのかどーか。
まぁ、この輝火の『兄』のエピソードがあるとしてですが。
多分、彼はハーデスに殺されたりとかしたんじゃないですかね。何だかんだで(言いくるめられたりとか)輝火はハーデスの側につくが、最後の最後で『ハーデスへの恨み』とか、『ハーデスの魂の解放』だとかでハーデスを裏切るんではないかと。
あるいは、反逆寸前までいくが思いとどまって童虎と決戦か、というトコですかねぇ。
ま、想像なんで、どうなるか分かりませんが。
★「勝ってください」
byセネオ。
いいっスね~。セネオ君が。
次は一緒に戦えるように頑張ります。だから勝って生き残ってください。
うーにゅ。
アルデバランも、その言葉に笑みで返す。
ナイス師弟ですな。
次回、アルデバランVS輝火、決着。
っていうか、どうあってもアルデバランは死にそうですが…。
何かこう死に急いでるよーな気も…(汗)]]>
聖闘士星矢
2007-06-14T21:43:56+09:00
水麗月紫
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テイルズオブエターニア プレイ日記(その10)
◆セレスティア海底旅行記(笑)座標の場所にあったのは謎のダンジョン。その名もアイフリードの洞窟である。アイフリード絡みとあって、嬉々として入っていくチャットと、それに続くリッドたち。アイフリードの洞窟はスゴロクになっていて、ルーレットを回し、でた数字の分だけ進むことが出来る。止まったマスによっては、戦闘になったりアイテムが入手出来たりするが、どちらかというとデメリットの方が大きかったかも(汗)敵も
◆セレスティア海底旅行記(笑)
座標の場所にあったのは謎のダンジョン。その名もアイフリードの洞窟である。
アイフリード絡みとあって、嬉々として入っていくチャットと、それに続くリッドたち。
アイフリードの洞窟はスゴロクになっていて、ルーレットを回し、でた数字の分だけ進むことが出来る。止まったマスによっては、戦闘になったりアイテムが入手出来たりするが、どちらかというとデメリットの方が大きかったかも(汗)
敵も強いし…。
洞窟を抜けて、改造ドックに行くと、バンエルティア号が第二段階に改造されて、船室が二つつき、小型潜水挺アイフィッシュも搭載される。
今後はこのアイフィッシュを使って海底を捜査することになる。
歓喜の街ジイニ
徒歩では来れない街。現時点では、海底から来る以外に行く方法はない。なので、ちょいと寄り道(笑)
ジイニは夜のみ営業の、ストーリーには直接関係ないエクストラタウンで、オークションやダンス、ウィスなどどっちかというと称号集めには欠かせない街である。
通貨はこの街でのみ使用可の、その名もジイニで、とにかく何をするにもこのジイニがかかる。
まずはオークション。アイテムをオークションにかけ、資金を稼ぐのが目的と思われる。まぁ称号ももらえるけど。
手っ取り早いのが鍋のフタを出品することで、運がよければ結構な勢いで値が上がっていく。稼ぎすぎるとナゼかマイナスになっていて、どうにもならなくなる、という罠があったりする(爆)
ちなみに、-15302970ジイニが自分の最高額。
ホントにマイナスになるので困る(汗)
間違ってこの値で落札したりすると、ほぼどうしようもないと思われます。換金して元に戻すにも、この額からプラスへもっていくには天井破りのガルドが必要だし(爆)
多分、1000万ジイニを越すとマズい模様…。
ま、ともかく『アイテム成り金』の称号ゲット。なんとなく嬉しくないような称号である(笑)
オークションショップでは高品質の武器、防具を販売。もちろん通貨はジイニだ。セレスティア七大秘宝のレジュームリングもある。
オークションで大量に得たジイニでマジカルリボンを買いまくり、んで売却するとガルド稼ぎも簡単に出来る。これで稼ぐのがもっとも効率がいいかと。
ダンスオーディション。メルディ&リッドが出場出来るダンスのミニゲーム。スポットライトから外れないように踊るのだがこれがまた難しい。最後まで踊りきることすら出来ん(汗)
クリアすれば称号がもらえるだけに、何とかクリアしたいが今回は断念。
100ジイニでセレシーマップを購入。セレスティアの海底マップだがやたらと見づらい。っていうか、よく分からん(爆)
闇の洞窟
海底に潜む、謎の洞窟。それは闇が支配する洞窟だった。
普通のダンジョンと違い、敵はマップ上にすでに出現していて、それに触れると戦闘になる。そしてまた、これが結構強い。
「人は闇に怯える…。己の心に潜む、真の闇に気付くこともなく……」
闇の中に現れた気配。
それは闇の中に住む統括昌霊シャドウ!
「ワイール!お久し振りだなー!」
その威圧感に気圧されることなく、メルディはいつも通りにご挨拶(笑)
「…我が深遠なる闇を乱したことには、相応の理由があるのだろうな?」
「世界を救うため、あなたの力を借りたいんだ!」
VSシャドウ(&エンプティドール×2)
シャドウは接近戦に無類の強さを発揮し、リッドが頻繁に吹っ飛ばされる。特技はどれも強力だが、特にバニッシュメントが嫌である。
基本的には、フリーズランサーでシャドウの行動を邪魔しつつ、リッドが虎牙連斬(猛虎連撃破)で攻撃、というパターンか。
シャドウを仲間に引き入れ、インフェリアへ戻る方法を探すリッドたち。
しかし何つーか、情報が何もないのでウロウロと海底散歩。この海底だが、行けない場所がやたらと多く、しかもかなり分かりづらい。
そんなこんなでかなり時間を浪費しつつ(爆)、ようやくにしてインフェリアへ帰る方法らしいシルバーケイジなるものを発見。これを集めてインフェリアへの道を開くらしい。しかし、これがまたあちこちに散らばっていて探すのに一苦労。あ~ぁ。
シルバーケイジを集め、アイフリードの台座にそれぞれはめ込むと、遠征の橋が起動する。
遠征の橋は、インフェリアにあった光の橋セレスティアヴァージョンみたいなもので、これを利用することでインフェリアへ行けるのだ。
中継基地を経由し、いざインフェリアへと。]]>
テイルズオブエターニア
2006-12-09T20:26:14+09:00
水麗月紫
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